投稿

3 〔翻訳〕ヴィゴツキー:ピック病における知的障碍〔もしくは認知症〕

3 ピック病における知的障碍〔もしくは認知症〕 要約 神谷栄司・仮訳 Выготский, Л. С.: СЛАБОУМИЕ ПРИ БОЛЕЗНИ ПИКА* РЕЗЮМЕ * Статья написана в 1933 году. Публикуется впервые. - Семейный архив Л. С. Выготского. 出典:Выготский, Л. С.: Проблемы дефекторогии, М., Просвещение, 1995, Под ред. Т. М. Лифановой〔ヴィゴツキー『障碍学の諸問題』、リファノワ編〕 1. ピック病における知的障碍〔もしくは認知症〕は次のような結論に導いている ― こうした状態に見られ、患者の認知症のなかに現れている意識の病理学的変化は知的変調だけによって汲み尽くされないし、感情性のもっとも深い変化が認知症の構造に本質的な部分として加わっている。こうして知性の形式的保存性をともない情意領域の優勢な苦難を特徴とする認知症の形態(感情的認知症、意欲の認知症など)のみならず、知性の粗野な非構造化を伴って生起する知的障碍の形態もまた、心理生活全体のきわめて深い変調を示している。なかでも、知的領域と動的な感情領域との変調を示している。с.402 1. Исследование слабоумия при болезни Пика приводит нас к тому выводу, что патологическое изменение сознания, наблюдающееся при этих состояниях и выражающееся в дементности больных, невозможно исчерпать одними интеллектуальными расстройствами и что глубочайшие изменения аффективности входят органической частью в структуру деменции. Таким образом, не только те формы деменции, которые сопровождаются формальной сохранностью инт...

2 野田又夫訳のデカルトについて

 2 デカルト『方法序説』(1637, 第5部)、思考とことば 当該部分の翻訳(和訳、英訳、露訳)について〔20241113〕 〔1〕チョムスキー『デカルト派言語学』(Chomsky, Noam : Cartesian linguistics, 1966、川本茂雄・訳1970)  わたし自身が「同定 Identify, Identification」という語(概念)を意識したのは、チョムスキー『デカルト派言語学』(1966年、川本茂雄・訳、1970年)のなかでのことだった。この概念の文脈的意味は平たく言えば、思考と言語の同定であった。  チョムスキーは同書の「言語使用の創造的面」という章で、同定の概念を用い、その淵源をデカルトの『方法序説』第5部に求めている。デカルトはそこで、動物と人間の精神の相違を論じる際に、言語を取りあげている。 〔2〕上記「同定」の根拠となる部分のフランス語原文と和訳(野田又夫・訳)  まずデカルトの書いたフランス語原文とその和訳(野田又夫・訳)である。 … les pies et les perroquets peuvent proférer des paroles ainsi que nous, et toutefois ne peuvent parler ainsi que nous, c'est-à-dire en témoignant qu'ils pensent ce qu'ils disent … 〔カササギやオウムが言葉を発することを例にあげて〕しかし〔かれらは〕われわれのようには話すことができない。すなわち、自分が口にすること〔dire〕は自分が考えていること〔penser〕であるということを明らかに示しながら話す、ということはできない。(〔 〕内は神谷による補足)  重要だと思われるがわかりにくい箇所〔赤字で示している。わかりにくいということについては後述〕は、文法の分析と文脈的意味の分析とを過不足なくおこなうことが特に必要である。ここで試みる文法的分析がデカルトの時代のフランス語文法にもあてはまるかどうかはあまりにも専門的になるのでその道の研究者に尋ねるほかはない。その点は少々結論の留保が必要となるが。  ⦿ en témoignant は、que〔qu’〕以下のことを「示しながら」という意味であ...

1 ヴィゴツキーにかんする報告(20241221)

  発達心理学会北海道地区懇話会(ヴィゴツキーシンポ) 発表者=神谷栄司(元佛教大学) ヴィゴツキー(1896-1934)をどのように読む(研究する)のか ― ① 縦への連関と横への連関、   ②「知と情」の統一的把握、   ③ 使用言語、   そして、わたし自身の反省 〔1〕多様な連関(事実的な連関と理論的な連関)のなかで  ヴィゴツキーの研究姿勢の1つは、研究対象を最初から1つの連関、1つの理論からのみ考察し始めるのではなく、多様な連関において考察し、問題への観点を絞っていくことにあるだろう。その過程の1つの特徴は 「形式的一致」 や 「外〔見〕的類似」 を探し出し、そこから対象が含まれる種類やタイプにおける特質を明らかにすることであった。 ※「発達の最近接領域」を事例にすると   学齢児の教科教育 〔教育と無関係に理解される発達論(ピアジェ)、教育がそのまま発達となる発達論(ジェームズ、ソーンダイク)、両観点の折衷論(コフカ)、最近接領域に近いマッカーシーの考え方の吟味:独力での達成水準と教師・年長者の教示・ヒントのもとでの達成水準〕〔①Проблема обучения и умственного развития в школьном возрасте, 1933/34.〔学齢期における教授・学習と知的発達の問題、土井・神谷共訳『「発達の最近接領域」の理論』第1章、2003〕〕   就学前児の遊び 〔現実的世界と想像的世界の隔たり、最小抵抗路線は同時に最大抵抗路線、ルールによる自由の確保:発達の最近接領域の遊び的形式〕〔②Игра и ее роль в психическом развитии ребенка, 1933.〔子どもの心理発達における遊びとその役割、土井・神谷監訳『「人格発達」の理論』第7章、2012〕〕   知的障碍のある子どもの集団 〔「発達の最近接領域」の語は使われていないが、知的発達が1段階上位に位置する子どもへの感受性・親和性(たとえば軽度発達障害児にとっての健常児、中度発達障害児にとっての軽度発達障害児)〕〔③Коллектив как фактор развития аномального ребенка, 1931.〔障碍のある子どもの発達の要因としての集団、柴田・宮坂共訳『ヴィゴツキー障害児発達・教育論集』第7章、...